同じ空間、
子供の世界と大人の世界



ココナツ葉のかご編みは日常風景。 (体験さもあ文化2をどうぞ。) 横で夢さんとお隣のミタイが遊ぶ。
●働く大人の周りが遊び場●

 ココナツ葉のかごの編み方を教わる。その周りで夢さんは村の小さな子供らと遊ぶ。
 石焼料理を男たちがする。やっぱりその周りで子供らが遊ぶ。何をしていても、働く大人の周囲を、子らはウロチョロしているのだ。

 公園なんてない。すべり台もオモチャもない。特別に「子供が遊ぶための場」なんてない。さらに、大人が子供の遊びの相手をするなんて風景は、ここでは絶対おめにかからない。大人は毎日大人の仕事をしている。その周りで、子供が勝手に自分たちで遊びを工夫してる。木に登ったり、枝を振り回したり、葉っぱを傘に見立てたり…。そして、遊びで見よう見まねから始まって、4、5歳の頃からは、りっぱに大人の作業を手伝うようになる。

●日本とサモア、いろいろでいい●

 私は実は今は、日本の都会社会においては、保育園に賛成だ。子供は毎日の暮らしの中で、親や兄弟以外の大人や子供と深く関わって生き方を学ぶのが大切だと思う。
 ところが今の日本の町社会では、毎日近所の人や子供らとごっちゃになって、共同社会の中で一緒に暮らしを営むという土壌はない。かくて、小さな子供は家族の中でだけしか日々の人間関係を学べない。
 そして核家族の中ではえてして子供中心にことが運ぶ。多くの日本の子供たちは自然、「ワタシは世界の中心だ」と錯覚する傾向がある。またはそこまで行かなくても、この社会に生きているたくさんの家族以外の他者への関心が薄くなる。これは現実に日本の大きな課題だ、と私は思う。

 そんな中、保育園は小さな頃から社会での信頼関係を学ぶいい場所を提供している。夢さんは、オープンで明るいカラーの保育園でわんぱくにみんなと遊ぶ。保育園の先生や友達が大好きでしょうがない、ってかんじだ。


タロの葉のココナツ煮、「バルサミ」づくり。
体験さもあ文化1に。)


石焼料理をする後ろで、夢さんは料理道具で遊ぶのに夢中。

 でももうひとつ、町の社会では難しい、子供にとって素敵なこと。それは、朝から晩まで、働く大人の姿を横に見て、生きるとは、働くとは何かを、カラダで学んでいくこと。

  何が子供にとって理想的か、なんて論争は百花繚乱。ひとつに絞るのはナンセンスだ。そんな中の、ある自然で気持ちのいい一例をサモアで見た。しかもこの大人たちは、ただ無意識にその村社会に従って日々生きてるだけ。それが子供らにとって素敵なことなんて思ってしてるわけではない。なにせ、ここでは、大人は子供の相手なんてしないんだから。


 夕暮れどきの夢さん



 

サバイイ島1
村みんなが「家族」ってこういうこと

 サモアってどこ?


         ★=現在地

             1歳の赤ん坊と日本を脱出するまで



 
1 初めての人の輪も濃い!

 フェアばあちゃんの「超簡単子育て」

3 海辺で(餅つきでなく)

  サモアン・ココアつき

4 「友情とお金は切り離せない」?!


5 知らない人の膝に乗るのが

  サモアのバス

6 同じ空間、
  子供の世界と大人の世界

1 村みんなが「家族」ってこういうこと

2 鶏は家の中、子供は扇風機役

3 川での行水にはコツがある

4 ー海ー 魂の源

5 夢さんは村の子になっちゃった…

6 働き者は損をする…?

7 交通事故のブタは石焼に!

8 200人を家で接待、これ普通。

9 母親である前に人間だから

10 ヒョイ!の眉あげあいさつ

                 大切なあとがき

体験 体験 体験
うっま〜い石焼、
「ウム」料理
チャチャっと編む
ヤシの葉のかご
木の皮の布、
「シアポー」づくり

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