ヒョイ!の眉あげ挨拶
○ 知らない人とすれ違うときの習慣を比較 ○


●知らない人に、ニカッ、ヒョイ、クイッ●

 サモアでの「会釈」は、ヒョイ!と眉をあげて、クイとわずかにあごをあげること。これが、「どーも」とか「コンチワ」の意思表示。知らない人でも誰でも通りがかりに、このヒョイ!クイ!の「コンチワ」ジェスチャーをする。
 さらに村に滞在してると、これに音声の「ケアルフェア?!」(どこ行くの?!)挨拶がつく。どこに行くのにも、歩いてると20秒ごとには「ケアルフェア?!」攻撃に会うのだ。

 サモアへの行きと帰りにしばらくハワイに滞在したが、ここでは知らない人とも通りがかりに「ニコリ」とスマイルが習慣。北米にもその風習があるが、ハワイはもっと知らない人同士の距離が近いと感じた。

 
  
だもんで、日本に帰って来た時、通りがかりの人と目を合わさない、ということに慣れなおすのにちととまどった。つい無意識に、相手を見てはニッコリして眉をヒョイ!とやってしまったことが数回ある。で、相手がビックリ仰天して「え!どこかでお会いしましたっけ?」なんて聞かれた。いやいや、あのその…、ごめんちゃい、ってカンジ。


よく夢さんを寝かしつけてくれた大工のサウララ
いつでも誰かの膝の上、の夢さん
                 

夢さんとアトニウ
●人なつっこい国、恥じらいの美の国●

 夢さんも日本に帰ってすぐはちょっと傷ついた。空港からの帰りの電車でこの夢さん、見知らぬおじさんにバアッと抱きついていったのだ。
 そうやると、誰でもガシッと抱き返して、こたえてくれたのがサモア、ことにサバイイ島だった。ところがもちろん日本のサラリーマンおじさんはビックリ。たじっと引いたおじさんの顔を見て、夢さんは不思議そうな顔をした。私はあわてて、「これ夢さん。スミマセン…」とおじさんにあやまる。まだ言葉を話せない夢さんの顔は、「なんであやまるの?いったいどうしちゃったのみんな?」と言っていた。しばらくいぶかしげな顔をしていた。


 あの時は私もちょっとつらくなった。この子は、サモアのようにもっと人々がオープンで仲良くなりやすい、スキンシップの豊かな国で育てたい…そういう願いが込み上げてきた瞬間だった。

 ところがやっぱり日本の奥ゆかしさやはじらい、…それはそれで好きな私。帰ってきてしばらく経つと、やっぱり日本人の美感覚の繊細さ、仕事の緻密さや律儀さ、無言の優しさ、正直さは無形世界財産だなぁと再認識するようになった。
 文化の違いに是非はないのだ。そして、全く違ったコミュニケーション常識の異文化の中で他人と親しくなってみるってのは、そりゃあショッキングでもんのすごく面白い。自分が今まで考えてきたこと、感じてきたことがどれだけ過去に体験した文化の制約を受けてたかを悟る。この「ドキドキショック」を、死ぬまで時間のゆるす限り、地球のあちこちで体験し続けたい。


私の最後の週末にトラックをチャーターしてサバイイ島一周ピクニックをした。サバイイ島に生まれながら他の村に行ったことのない皆ははおおはしゃぎ。(手前がナツ



 

旅を終えて 大切なあとがき
 サモアってどこ?


         ★=現在地

             1歳の赤ん坊と日本を脱出するまで



 
1 初めての人の輪も濃い!

 フェアばあちゃんの「超簡単子育て」

3 海辺で(餅つきでなく)

  サモアン・ココアつき

4 「友情とお金は切り離せない」?!


5 知らない人の膝に乗るのが

  サモアのバス

6 同じ空間、
  子供の世界と大人の世界

1 村みんなが「家族」ってこういうこと

2 鶏は家の中、子供は扇風機役


3 川での行水にはコツがある


4 ー海ー 魂の源


5 夢さんは村の子になっちゃった…


6 働き者は損をする…?


7 交通事故のブタは石焼に!


8 200人を家で接待、これ普通。


9 母親である前に人間だから


10 ヒョイ!の眉あげあいさつ


                 大切なあとがき

体験 体験 体験
うっま〜い石焼、
「ウム」料理
チャチャっと編む
ヤシの葉のかご
木の皮の布、
「シアポー」づくり

     ● サモアってどこ? ●
    ●作者「ナツ」について
     ●  リンク集  ●