1歳の赤ん坊と
   日本を脱出するまで

さあ、関空行き「はるか」に乗り込む。
ここから3ヶ月、二人だけの旅だ…。




夢さんを生む前の旅、ソロモン諸島。


ソロモン諸島、マライタ島に滞在してた時。


夢さんを生んだ直後。
産婆さんを探して家で生んだ。


夢さん10ヶ月。専業母親の頃のナツ。
空港はトキメキ

  2002年2月。出発の朝。関西空港に足を踏み入れた。胸はビンビンにトキメいていた。「あぁ、これこれ!この感覚!」
  毎回バックパックの旅に出る時まず空港で感じる、これから出会う未知の世界への期待。いったい、何が起こるだろうというワクワク。この興奮が好きで生きてるようなモンだ。
  いつもと違うのは、…背中に1歳の赤ん坊がいること。
 
 最後の海外冒険は3年前の南太平洋ソロモン諸島。
 南の島にエイヤッと飛び込んでみて、もお、はまった。
 ところでソロモンはメラネシア文化圏だった。「次はポリネシア文化圏の国に行ってみよう。」具体的には、トンガかサモアあたり…。
 ところがそんな時、地球半周して追っかけて来てくれた日本の恋人。恋に夢中になるひととき。2人で日本に帰って、…待っていた!
 人生最大のアクシデントだった、妊娠&出産ー。

重たぁ〜いジェンダーの常識を越えて

  実をいうと私たちの場合、よくあるお互いサマの「できちゃったね妊娠」じゃない。私は「南に移住したいから日本では家庭はいらない」意志を伝えていて、避妊に細心の注意をはらっていた。ところが相手の、避妊に対する無知と無関心。(ぶっちゃけていうと、寝てる間にされちゃったの。)

 私は日本人男性とはつき合ったことがなく、日本の男がそういう面ではいーかげんであることを、よく知らんかった。調べると、男性の、避妊への無関心ちゅうのは、日本社会、いやアジア社会のかかえる重大なジェンダー問題だった。 
 愛する人が自分の人生を軽くあつかった。ところがそんな男の軽率さには非常に甘い周囲。

 そしてもうひとつ。
 この日本ではオンナがひとたび妊娠すると、人生の主人公がその本人からおなかの子供に変わってしまう。
 これは日本の奇妙な常識のひとつだ。
 話題はその人の人生のことよりおなかの子供のことにいく。「いい母親とは」がなぜか当たり前の第一トピックになってしまう。妊娠したとたん、私の南移住の夢のことなんかそっちのけで、おなかの子供のことばかり話題にする周囲に非常に傷ついた。

 でも、私だって無心に我が子は愛しい。「子供を第一に考えなさい」の風潮に私は反論できなかった。そして同時に、南にはせる私の熱い心。「母親として」どうだと子供が幸せか、の育児書を必死で読みあさったその一方で、英語の勉強は、おっぱいをあげながらでもやめられなかった。
 
 
この複雑な葛藤を乗り越えるのに、あらゆる心理学や社会学の書物、色々なカウンセラー、セラピストのヘルプが、長いあいだ、必要となったのです…。今もこの問題には向き合ってる真っ最中。(子供と生き方の参考は、リンク集で紹介。)

母親でも、好きなことは追いたい!

  そんな中で、何人かの優れたカウンセラーから受けたアドバイスで、失っていた自分らしさが少しずつ帰って来た。
「この日本社会では、子供を生むと女は母親になって、自分を犠牲にして子育てするのが美徳という風潮が根強い。
 でもね。子供の世話をしながら、自分の人生も大切にして、本当にやりたいことを求めていく。それが、一番生き生きとした生き方を子供にも教えることになるよ。」

 そして友人がある本をプレゼントしてくれた。『ベイビーパッカーで行こう!』(リンク集)。6ヶ月の赤ん坊をしょって旅したバックパッカーの話。友人は言った。「すぐ先のあなたを見るようよ。」

  生んだ時の指針、「自分の時間をすべて、この子にそそいで、いい人間を育てよう」に疑問が湧き出した。
 もっと私らしい、エネルギーが湧く方法が広がってるぞ…?


 そして、育児面の再リサーチを始めた。
「親がやりたいことをやってる親子の関係はどうか?はたして本当にそれで子供への愛情が手抜きになるのか?」
 たくさんの、私の好きな先輩母親にインタビューした。
 
 ― そして数ヵ月後、子供を保育園へ入れて仕事をする一大決心。
生んだ時にたくさん読んだ育児書に背(そむ)く行為だった。
そしてネットや知人を回って旅先のつてを探した。

 その決心から1年と数ヶ月後。私はここ、関西空港で、背中の我が子と、日本を出る飛行機を待っていた…。 


 サルワファタ村 1 初めての人の輪も濃い!  サモアってどこ?  


         ★=現在地

             1歳の赤ん坊と日本を脱出するまで



 
1 初めての人の輪も濃い!

 フェアばあちゃんの「超簡単子育て」

3 海辺で(餅つきでなく)
  サモアン・ココアつき

4 「友情とお金は切り離せない」?!

5 知らない人の膝に乗るのが
  サモアのバス

6 同じ空間、
  子供の世界と大人の世界
1 村みんなが「家族」ってこういうこと

2 鶏は家の中、子供は扇風機役

3 川での行水にはコツがある

4 ー海ー 魂の源

5 夢さんは村の子になっちゃった…

6 働き者は損をする…?

7 交通事故のブタは石焼に!

8 200人を家で接待、これ普通。

9 母親である前に人間だから

10 ヒョイ!の眉あげあいさつ

                 大切なあとがき

体験 体験 体験
うっま〜い石焼、
「ウム」料理
チャチャっと編む
ヤシの葉のかご
木の皮の布、
「シアポー」づくり

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