「星の砂の絵本をツバルに」プロジェクトとは
(2015年1月のご支援カンパのお願いページ) |
絵本プロジェクトの内容をご説明するために、2015年1月にご寄付をお願いした
このページをしばらく保存いたします。 |
深刻な環境問題に直面するツバルの首都、フナフチ。
サンゴと有孔虫の絵本を、ツバルの人々に配るために、わたしたちは行ってきます。 |
ツバルの首都フナフチ、フォンガファレ島。 いまやその人口は約7000人に膨れ上がりました。正方形にすると1.4km四方(★1)という土地に7000人。まだ自給自足の暮らしであった19世紀末には250人だけが住んでいた島。(★2) フナフチの海岸侵食・大潮時の浸水の問題に、ツバルは日本に支援を要請しました。それに応えて、JICA(ジャイカ)が2009年から2014年、本格的なフナフチ環礁の調査と研究を行いました。 |
ツバルの首都フナフチ・フォンガファレ島。開発による土地の脆弱化や海水の汚染。海岸線の侵食にも、サンゴや有孔虫の減少が関わっていることが分かってきました。 |
分裂して新たに生まれる有孔虫。 |
ツバルの島は、サンゴと有孔虫(ゆうこうちゅう)と海藻の死骸でできています。有孔虫とは、沖縄の「星の砂」で知られている原生動物です。死んだ後に砂になってサンゴ由来の土台に堆積して、島を作るのです。「星の砂」(バキュロジプシナという有孔虫)以外にも数種類の有孔虫がツバルの島々を作っています。
第二次世界大戦でのアメリカ進駐軍によるフナフチの土地の掘削と埋め立て。戦後、この膨れ上がる人口の住民のたれ流す汚水とゴミ。(★2) JICAの5年間の調査では、地球規模の気候変動のみならず、首都で起こっているこれら局地的な開発が、島をつくっているサンゴと有孔虫と海藻を減少させ、島の組成を危うくしていることが明らかになりました。 |
2008年、「海に沈むより先に」に書いたように、首都フナフチの乱開発を危惧していたわたしは、この生態学的調査が心から嬉しかったのです。JICAのフナフチ現地コーディネーターの松舘文子さんに、水槽で育成実験される有孔虫を顕微鏡にとって見せてもらいました。(松舘さんの在任当時のプロジェクトレポートはこちらをどうぞ。) 東大の茅根創先生をはじめとするこの研究者グループは、5年間の調査や有孔虫の育成実験などの結果、いくつかの提案をツバル政府に提出しました。外海と内海の海流を遮断している埋め立て道路を橋にして、海流を自然に戻すこと。有孔虫の堆積を遮断しているコンクリートの埠頭も同じように橋の形にして、海岸線に有孔虫が自然に堆積するようにすること。有孔虫の保護育成プログラム。海水を使った、下水の生分解処理。今後の開発の再検討や規制。 |
フォンガファレ島の北の端は巨大なゴミ捨て場。ここから化学物質も海に流れ出ています。 |
しかしとても残念なことに、ツバル政府はそれらの提案を採用しませんでした。提案を遂行するための資金援助より、他の物的な援助を優先して日本に要請したためです。(離島間を行き来するための新しい船やインフラなど。)
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出来上がった、星の砂の絵本『笑顔の島のつくりかた』 日本語版をアップしました。ぜひ読んでみてください。 |
松舘さんと研究者グループの井手さんは、人々にサンゴと有孔虫のことを知らせる絵本も作りました。しかし、フナフチの人々に配る部数を印刷する予算はおりませんでした。
プロジェクトがツバル政府による不採用という形で終わってしまったあと、松舘さんは私的な時間で走り回りました。せめてあの絵本だけでもツバルの人々に配りたい、と。絵本印刷の出資者を探したのです。 |
そしてその結果、ライオンズクラブの岡野ただおさんという紳士が果敢にも申し出てくれました。フナフチの概算世帯数に見合う1000部の印刷が実現したのです。松舘さんと岡野さんは、1000冊の絵本をツバルの人々に配りに、2015年の2月にフナフチに行きます。 2015年1月 もんでん奈津代 |
○ 出展 ○
★1 Tuvalu Land Survey 2005 Fongafale Island : 1.878sq.km |
こうしてこのページでご寄付を募り、みなさまのお力をお借りいたしました。
ご寄付振込先口座 : みずほ銀行 麹町支店 普通 1370033 または松舘文子・もんでん奈津代に直接手渡し。 |
● 絵本 『笑顔の島のつくりかた』 あらすじ● |
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小さな島に生まれたアガサ。友だちは、魚やサンゴや星の砂たち。島民は必要なものだけを獲り、食べ物を分けあってくらしていました。 ところが、ある欲張りな大人が、土地がもっと欲しいと、海の底から砂利をとってきて海岸を広げて埋め立てていきました。すると、埋め立てた土地の周囲の砂浜が逆に削れていったのです。(注:これが首都フナフチで実際に起こっていることです。) ハリケーンの大嵐の日。魚たちはアガサと島民に教えます。「サンゴや星の砂たちがまだ生きているところに逃げて。かれらがいると、地盤が丈夫だから。」 欲張りな大人たちが土地を広げようとしたもとの島は、嵐でどんどん削れていきます。サンゴや星の砂たちがいなくなってしまったからです。 |
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嵐が去った朝。アガサたちは、星の砂が嵐の風で積もって、新しい島ができているのを見るのです。(サンゴ礁の島では、たびたび起こる現象です。) 人々はこのとき、知ったのです。「そうか。サンゴと星の砂たちが、島をつくって、太古からこの島をずっと守ってきていたんだ。」 | ||||
― 絵本 『笑顔の島のつくりかた』 日本語版へ ― |
―松舘文子さん 「絵本に寄せて」より―
ツバルの人たちが、いつまでもその土地に安心して暮らしていくためには、自分たちの生活の中に問題があることを理解し、自分たちで土地を守っていくことを始めなければなりません。住民自身が島の形成・堆積メカニズムに理解を深め、自分たちの土地を守ることで、気候変動にも負けない国を作ることができるのです。 ツバルの人たちが自分の国の成り立ちを知り、海の生き物や砂の流れなどに目を向けた暮らしをして欲しいという願いを込めて、私たちはこの絵本を作りました。 |
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★ 「星の砂の絵本をツバルに」プロジェクト もくじ ★ |
1 「星の砂の絵本をツバルに」プロジェクトとは (このページ) 2 ご寄付総計と経費のご報告 3 ご報告1 ツバルにて 4 ご報告2 帰国後 ● 星の砂の絵本 『笑顔の島のつくりかた』 日本語版。 ぜひ読んでみてください。 ● ツバル語ソング「海から生まれた国」 有孔虫のことをツバル人に広めるために作った歌です。 ツバルの映像とともにYouTubeにて。 |
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