● 子ども 3 実況写真集 

 

  ー 子どものあなたが ー
1 バイツプ島に来て  

とある日本の子ども夢菜が、4歳から6歳に育ちつつ、
ツバル離島の暮らしを観て、体験していく様子を
時をおって並べます。

あなたは、できたら、夢菜になってください。
日本で生まれ育って、今あなたは4歳です。
ある日突然、母親に連れられてここに来ました。
さて、あなたは、どんなものを観て、
どんなものに触れるのでしょう…?
4歳から6歳になっていく子どもに戻って
ツバル離島を体験してみてください。


バイツプ島に
初めて来た日。
お気に入りのベビーカーを島の子どもはめずらしがってぶんぶん回して遊んでくれます。
あなたは
かなり迷惑ぎみ。

「なんなのこの子たち。
野蛮だなぁ。
ちょっとぉ、
帽子が飛ぶよぉ。」



島に来て1週間。

ホームステイ家族の母さん、リセはずいぶんあたしをかわいがってくれる。
だから好き。
突然南の国へ来たから、いつも頭が汗だくだねと、
髪を短く切ってくれたのもリセ。

ここなつの葉の
若くて白いので、
わたしに草スカートを作ってくれるって。



遊び、たくさん教えてくれる。
おもしろい!
この指差し歌はもう覚えたよ。

「ぱんご、ぱんご、
こ〜とぅ〜。
せまらけ〜。
せいえ〜ぱごぱんご
せいえ〜ぱごぱんご、
まらまらかいとぅ〜
ばいき〜とぅ…、
とぅわ!」


「とぅわ!」の時に
指が足に回ってきたひとは、
みんなの輪から
その足を抜いていくんだ。



家から海のほうの
お向かいさんの
セレと友達になった。

セレには3人お兄ちゃんがいて、
いつもウムで
鶏と豚にやるココナツを
削ってる。

ココナツの削り節を鶏にパアーってまいてやるの、いつもやらせてくれるよ。

「アプアプアプ〜!」
って呼ぶと、セレの家の鶏がみんな寄ってくる。

隣りのイウタナのとこの鶏は、「トゥイシ(ダンス)トゥイシトゥイシ〜!」で寄ってくる。
ちゃんと自分のところの鶏を呼んでやらなくちゃだめなんだって。


(※ウム=料理小屋→バイツプ島実況写真集3「料理小屋は暮らしの場」




セレの母さんのアオトアが、ほうきで葉っぱを掃いてた。
おもしろそうだったので あたしもやった。
ここなつの葉の真ん中のかたくて細い棒みたなところで、ほうき作ったんだって。
ほんとだ…。


ホームスティ家族では
ライサネはあたしの
いとこなんだって。
ライサネって…
いつもなんか
はたらいてるなぁ。
…かっこいい…。

あたしもココナツ削り器、
ガリガリやってみたけどー。
ぜんぜん削れん…。



スルー(腰布)って、
なんでおとなだけなの…?

いいよ、タオルでスルー巻くから。


石けり遊び、
けんぱ、ぱ。

え、ジャパニでも
あんの?
この遊び。



(※ジャパニ=日本)



みんなで
豚をばらばらにして
石焼にした。

ナツ(母)が
「夢さんは日本じゃ
豚なんてあんまり食べないのに、ここでは
大好きなんだから」
ってなんか嬉しそう。

マティニやフィリサエが
豚の肺をふくらませて
遊んでいた。

ぅぅぅぅぅぅううう〜って
ふくらむ。
ゅわわっゎぁってちぢむ。

 −風船だぁ。

おもしろそう…。
でもちょっとこわい。
だから
「あたしにもやらせて。」
って言えなかった…。


執筆 2007年12月22日



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