● ツバル特選写真集その2 

 

  ー オシエじいちゃんのカヌー ー




島の男たちが釣り用のカヌーをつくるときは、
必ずオシエじいちゃんに教えをこう。

オシエじいちゃんのつくるカヌーはこれで55隻めだ。
数人の若者がやすりやカンナを手に、褐色の肌を汗で光らせ、
オシエじいちゃんの指図でてきぱきと動く。

じいちゃんは、のびのびとしたはりのある声で、ひとつひとつ指導していく。
「いいか、木はフェタウかポコヴァカの木。
なかでも船の腕には、カナヴァの木の、一番硬い中心を使う。
明日、森に探しに行くか?」

子どもたちも手伝う。
そんなときはよく、緊張した面持ちの子どもに冗談をささやく。
「たのもしいのぉ。テナコ(子どもの名)がこの船で、たくさん釣って、おいぼれを養ってくれるんじゃな?」
そして子どもの肩をばんばんと叩いて、がははははははっと大きな声で笑うのだ。

(ナヌマンガ島)



執筆 2007年7月13日



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