● 首都フナフチ |
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ー 刑務所の海 ー
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刑務所の裏、東海岸の日の出。囚人の兄ちゃんたちが朝日を見てる。 |
ココナツを切ってくれる囚人アフェレ 看守、囚人がウクレレで歌う。 囚人、アフェレとイアポ。 看守と囚人で仲良くバレーボールで盛り上がる、昼休み。 魚釣りの網も作って、網漁にも出る。 たくみに網を編んでいく。 「政府にコネがあるから、手紙書いて、島にはやく帰れるようにしてもらうんだ。」漁の網を編みながら話すウイキはツバルの離島、ナヌメア島出身。 パトもナヌメア島出身。「今年には出所できるからさ。な、ナヌメア来いよ。」この海岸に来ると必ず、ココナツやカレベ(ココナツの樹液)をハンモックまで届けてくれた。 ハンモックでごろりの夢さんとナツ。 仕事が終わって、海で遊ぶイアポ達。 |
首都フナフチの、ほとんどの人が住むこの街は、南北に細く細く細長い、フォンガファレ島にある。
(フナフチの地図→TuvaluIslandsホームページ>Maps>Funafutiをどうぞ。) (正方形にすると約1.4Km 四方の広さの島。けれどそのほとんどの地域は、西から東まで100メートルにも満たない。) 刑務所は、この南北に細長い島の、東海岸にある。 西がラグーン側。この東海岸は大海側。 普段は風がない西のラグーン側は、常に暑い。 東海岸は、いつも涼しい東風が肌をなでて、暑い日中をしのぐのには、もってこいのサイドだ。 ココナツの葉で編まれたココナツ垣をはりめぐらした、小さな平屋の刑務所。 そのすぐ裏手の東海岸はパンダナスの森。 この海沿いの森の各所にハンモックがつるしてある。 わたしがこのスポットに来るとたいていは、刑務所の囚人の兄ちゃん達が、ハンモックに揺れている。 歩みよると、「ほら」と、ハンモックをひとつあけてくれる。 遠慮はしない。 紺碧の海と、光る白波を視界に満たせて、ゆらりゆらり。 そうしてるうちに、涼しい眠りに落ちる。 まっさおな海。髪を踊らす風。優しいパンダナスの森かげ。 − 極上の眠り。 中年の囚人、アフェレが、椰子の木に登って、ココナツをとってくれる。 「ピー?(ココナツジュース、飲むか?)」 アフェレは、酔っぱらって誤って妻を殺してしまって、ここにいる。 それから、酔って自分の妻の妹と関係してしまって、見つかって裁判にかけられ、強姦罪の判決が下されたおじさん。 南の島にもある、これら社会のひずみー。
私がハンモックに揺られて、うとうとしている向こうで、若い囚人のイアポが、夢さんと遊んでくれていた。 イアポ「はい、店が開いたよー。で、何買うの。」 見ると、さびた空き缶、ペットボトルのキャップ…いろんなゴミがサンゴ石で囲んだ「お店」に、きれいに並んでいる。 夢さん「えっと。ロレ(キャンディー)。」 イアポ「よっしゃ。はい、ロレね。(ペットボトルのキャップを渡して)はい、それにお釣り。(小さい石を渡す。)」 いつしか眠りについた私は、涼しい白波の音に重なるイアポの声を遠くに聴く。 イアポ「アソタウ ム〜ア、ム〜ア…!(むか〜し、むかし。) …あぁ、ツバルの昔話だ。起きて書き取らねば…。 と、思いつつ、また涼しい白波の眠りの谷へ…。 それからもイアポの昔話の声は、いくつかの物語りを語っていた。 「アソタウ ム〜ア、ム〜ア…!」 「ね、たことねずみのお話、してあげよっか? ★ フナフチ刑務所では、4ヶ月以上の刑の受刑者がツバル国内の各離島から出てきて暮らしている。(4ヶ月以内ならば各島の拘置所。) 労働時間は政府公務員と同じ月〜金の8時〜午後4時。空港など公共の敷地の草刈や清掃が主な仕事。 ココナツの垣には、特に門もなく開けっぴろげ。昼休みには昼寝小屋で看守とトランプ、夕方には敷地外のハンモックでウクレレをならしたりしている。 ★ 「たことねずみ」というツバルの昔話は、そのうち書きますね。 |