● 2013年の暮らしから 写真集 2

 

  ー おてんば娘 ミリ ー





家の母親アセナティと
娘たちみんなで
森の作業にでた。
のどが渇いた。

椰子の木に登って
ココナツを採るのは
男の仕事だが、
男がいない。

一番年長のミリが
低めの椰子の木を探して
登りだした。

つかんだ椰子の葉が
ちぎれたり
足がすべったりして
ズルズルッと
転がり落ちる。
みんなが大笑い。
ミリも大笑い。

でも何度も、トライする。






ついに椰子の実にたどりついたミリは
得意げに実を
ポーン、ポーンとみんなにほうっていく。


ミリは、去年、
17歳で他島の寄宿学校を卒業したものの
行きたい外国の大学への奨学金待ちだ。

農業を学びたい、という。




家に他の島から
娘たちが戻ってくると
盛り上げるのは
いつもミリだ。

「プリ(インド由来の
小麦粉のカリカリスナック)を作ろう」
妹たちが集まる。
キャアキャアとはしゃぐ。



外国の大学に農業を学びに行くはずだったミリは
わたしが日本にいてるあいだに
他島の男と恋に落ちて、あっけなく嫁に行ったという。

わたしは思った。
「なぁ〜んだ、ミリ。どんなおもしろい人生を歩むかと期待してたのに。普通の、島の女になったんかぁ。」

でも嫁に行ったヌイ島で、きっとまたケタケタ、ギャハハッと笑っているだろう。
今度、会いに行ってやろう。



編集 2015年11月18日




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